春、燗酒。

同じ大きさの図形でも大きい物の周りに置かれると小さく見えるエビングハウス錯視、あるいは高校の理系クラス40人中たった3人の女子が(どんな女子であれ)男子に大モテだといった例を挙げるまでもなく、物事は置かれた環境によって捉えられ方が変わる。


気温が上がってきて外出時のコートも家の中の暖房も要らなくなる春という季節は、お客様に燗酒を飲んでもらいたいと思っている当店にとってどのような環境なのか?


店主の私としては、何も変わらないと思っている。


春の食材を使った料理と燗酒を組み合わせられるのは当然この季節に限られるわけだし、昨年のヴィンテージである28BYのお酒が夏・冬を越して味わい深くなっている頃合いでもある

燗酒を冬と何も変わらずに楽しめる季節だと思っている。


冒頭の話に戻れば、内向きの矢(算数の不等号のようなもの)がついていようが外向きの矢がついていようが二つの線分は同じ長さであるわけだし、多くの男子に囲まれていようがいまいがその女性の絶対美(?)は変わらない。

実際には変わらないのにもかかわらず、ほとんどの人は錯覚してしまう(いや、実際は錯覚したいのかもしれない)。


しかしその中にほんのわずかながら、それは錯覚なんじゃないか、みんなが言っていることは間違っているんじゃないかと考える(あまのじゃくな)人たちがいる。すぐに結論を出さない慎重さと大勢に異を唱える勇気を併せ持つ数少ない人たち。


以上、これからの季節燗酒を飲んでくれる人はそれくらい少ないという店主のぼやきであった。


(久しぶりのブログ更新となります。今まで書いた記事に特別反響をいただいた記憶がないのですが、「ブログ書かなくなっちゃったの?」という反響は結構ありました。(ブログも店の営業も)やめたわけではないので今後ともどうぞよろしくお願いします。)