料理の「見方」(1)

気になっているグルメ番組の感想を書こう。

 

まず焦点となるのはそれぞれの店の料理のボリューム。

23人前もあろうかというボリュームの天丼だったり(ラーメンを盛り付けるようなどんぶりに入っている)、韓国の家庭で歓待を受けているかのような半端ない品数の定食だったり(通常の品を出した後にサービスとして供される小皿たち)、その後に出し惜しみしつつ提示される値段の安さと合わせて多大なインパクトを受けた芸能人が「すごい!なんでこんな安いの」とか「おかしいだろ!赤字だろ」などと、それぞれの個性に合わせた突っ込みをする。

明らかに「腹が減った時に食べる」の一択であるそれらの料理だが、「ただ多いだけ」「ただ安いだけ」ではない。このボリューム、この値段は見栄でも卑下でもない。

そこで、店主の歩みが語られ、その人生こそが値段の安さや料理のボリュームの理由であることを視聴者は初めて知ることとなる。「あまり儲からなくてもお客さんの笑顔が見たい」(ほとんどの店がここに収斂する)という商売哲学に至ったいきさつが語られる。

 

さて、この番組のサブタイトルは「ヒューマングルメンタリー」となっている。「人間(性)」と「グルメ」と「ドキュメンタリー」という3つの単語からなる造語があらわすのは、個性的な店主の人間性が料理・サービス・雰囲気に露骨までに出た飲食店の記録番組といったところだろう。

 

(続く)